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いじっぱりなシークレットムーン
第10章 Funky Moon
「……ほら、染みてきた。やっぱり濡らしてた」
黒色とはいえ、細い布地の色が変わり、それを指で直線上になぞられると、花弁の向きに平行した、いやらしい皺が出来た。
「やっ……、朱羽の意地悪っ」
背けた顔の頬にちゅっと熱い唇が落とされる。
「家に戻ったら、俺のベッドで、ちゃんと愛して上げるよ。カーセックスしてしまうほど、俺も切羽詰まっていたからすぐ繋げてしまった。きちんと愛して上げられなくてごめんね」
身体を抱きしめられ、ゆりかごのように揺らされる。
「家戻ろう?」
「……うん」
「じゃあ、ワンピース着ようか。ばんざい……」
素直に手を上げてワンピースを着た時だ。
がさっ、と音がしたのは。
あたしは朱羽と顔を見合わせた。
もしかして、誰かに見られてた?
見られてもおかしくないほど、オープンなセックスだった。
人気が全くないと油断していた。
暗闇になにかが光る。
もしかして撮影とか? ネットにでちゃうとか!?
がさっ。
朱羽がドアを開けて車から下りると、音がした茂みに近寄る。
固唾を吞んで見守るあたしの前に、またなにかが光った――。
「……ネコだ」
その光は、朱羽が持ち上げているもの。
白い毛をした可愛い顔をしたネコの目が光っていたのだ。
首には首輪がつけられている。
飼い猫なんだろう。
「ここから先は鬱蒼としてちょっとした崖になっているから迷ってしまう。道はこっちだ」
朱羽は、上ってきた道にネコを置いた。
みゃ~。
可愛い声を出して、まるでありがとうとでも言うかのように、ネコは坂を下りていった。
「朱羽、ネコ好きなの?」
「うん。可愛いし」
朱羽は戻ってくると、腰だけシートに腰掛けて、あたしの頭を撫でる。
「可愛い可愛い言ってるだろ?」
「あたし、ネコじゃないよ?」
「いいや陽菜はネコだ」
「ネコじゃないってば」
「可愛いネコの声で、あなたは啼くだろう? 気持ちよさそうに」
意味するところがわかって、あたしは朱羽の胸板をポカポカ叩いた。
「……もうっ!!」