この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
いじっぱりなシークレットムーン
第10章 Funky Moon
「あははははは!! 凄い真っ赤!!」
朱羽の笑い声でからかわれていたのを知る。
くそっ。
「え、ゆかり? ひじき? 薄力粉? 餃子の皮? 納豆? チーズ?」
くそっ!!
「たまご? 大豆? ショートニング? バター? アボガド?」
くそくそっ!!
「林檎そんなに色々買うの?」
色々言われながら、自棄買いのように材料を揃えた。
餃子の皮を買いながら挽肉を買っていないのが、朱羽には不思議らしい。
「別に餃子作らないよ」
「餃子の皮と書いてあるのに、餃子じゃない? なんだろう、凄くわくわくしてきた」
憂えて悩める姿も美しいが、単純に早く作れる材料の一部だけ。
凄く期待されているような気がするが、早く作ることだけが取り柄のあたしの料理は、朱羽みたいに手が込んだりしていないのが難点だ。
困ったときには、スマホがある!!
とりあえず白米はあるとのことで、レジ袋が四袋になって、ふたりでぶら下げて車に戻り、朱羽のマンションに向かった。
***
久しぶりに見る朱羽のマンションは、夜目でも高級ホテルに引けをとらないほどに豪華な外観だ。
横を擦り抜けると、地下の駐車場らしきところに入る直前に、横にあるボックスにカード(恐らく部屋のカードキー)を差し込むと、バーが上がって通行可能になった。
広い駐車スペースに車を停めると、朱羽はあたしの荷物を肩に提げ、レジ袋を持ってあたしを連れ、直通のエレベーターに乗る。
エレベーターを降りると、そこはコンシェルジュがいるところだった。
受付に立っていたのは、いつぞやの背広姿のコンシェルジュ。
にこやかな笑みを浮かべている。
「お帰りなさいませ、香月様」
もうひとりのコンシェルジュも一緒に頭を下げる。
朱羽は会釈して通り抜けようとしたが、あたしの腰を引き寄せながらコンシェルジュに言った。
「このひと俺の恋人なので、来たらすぐに俺の部屋に入れて下さい」
「なっ!」
「頻繁に出入りすることになると思いますので。俺がいなくても、優先的に通して下さい」
「かしこまりました」