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いじっぱりなシークレットムーン
第10章 Funky Moon
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何度愛しあっただろう。
情事に耽った後の余韻を微睡みながら朱羽と分かち合っていた時、朱羽のスマホがしつこく鳴ったため、朱羽がスマホを持ってこの部屋から出ていった。
その間、あたしは、朱羽の香りが染みついている白い枕を抱きしめ、主の匂いを鼻で思いきり吸い込みながら、まだ消えぬ幸せな快楽の余韻に浸り、乱した息を繰り返していた。
やがて、バスローブをはだけさせて、上気した肌から壮絶な色香をただ漏れにしている朱羽が、汗に濡れた髪を片手で掻き上げながら、冷蔵庫から取り出したのだろうペットボトルの水を口に含みながら戻って来た。
「電話、大丈夫だった?」
朱羽がベッドに腰掛け、あたしの頭を撫でて頷く。
「ああ。会社ではなく、身内だけど……ちょっと問題が起きてね。その電話だった」
「宮坂専務から?」
「いや。彼も今頃、同じ目に遭っているだろう」
朱羽は強張ったような顔をしながら、ペットボトルの水を呷った。
なんだろう、朱羽からぴりぴりしたような空気を感じる。
今までに無い、憤怒にも苛立ちにも似たような……。
……電話のせい?
「凄く声が枯れているけど、水、飲む?」
何度も立て続けでイカされ、喘ぐ声も乾ききったあたしの喉。
こくこくと頷くと、朱羽が仰向けになったあたしの口に、静かに水を注がれた。
「まるで親鳥に餌を貰ってる"雛"だね」
そんな笑い声を聞きながら、ひりついていた喉奥を潤した。
頬に絡んだ黒髪を、朱羽が指を伸ばしてとってくれる。
朱羽と目が合うと、あたしの頬を触りながら彼の目は細められた。
「えっろい女の顔」
「……っ」
「あなたは、抱けば抱くほどに、俺好みの女になるね」
とろりとした朱羽の瞳が揺れている。