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いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon

「俺が「朱羽は黙ってて!! これはあたしの問題なの!!」」
お願い朱羽、最後まで見ていて。
朱羽を選んだあたしの覚悟を。
大好きな結城も衣里も、仲間を切り捨ててしまった分、仲間達からの侮蔑を浴びないといけない。
八年もの結城との付き合いも、六年もの衣里と社長との付き合いも。二年の付き合いがある木島くんと杏奈との付き合いも。
ここ数週間のシークレットムーンの危機に際して、皆で団結し合った思い出すら、醜く歪ませてしまうのが、あたしの"代償"。
あたしを迎え入れてくれた、あたしの"家"はもうなくなったけれど、それでもあたしは、朱羽と生きると決めたの。
朱羽を家族とすると。あたしの帰る場所にすると。
涙の滲んだ目で、あたしは朱羽に笑う。
「お願いだから、朱羽はなにも言わないで」
「……っ」
「鹿沼」
結城があたしの前で屈み込んで、あたしの顔を覗き込んだ。
「なにがあった」
その真摯な顔に、涙が出そうになるのを必死で堪えた。
「少なくとも昨日はそんな様子、なかっただろう」
「……っ、前から、思ってて……」
「何年友達やってる?」
結城があたしの肩に手を置いて、切なそうに笑う。
「なんで俺に……隠す?」
「隠してなんか……」
「辞めないといけない理由を、言ってみろ。お前に誠意があるのなら」
"誠意"
あたしは膝小僧に爪をたてた。

