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いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon
「月代さん。なんで、暴走カバを行かせたんですか? 少し間違えれば、名取川文乃から敵視され、シークレットムーンを潰されていたかもしれませんよ!?」
専務はあたし達を無視して、社長だけを見て言う。
「そうですよ、社長。あたしもそれ思いました。どう見ても、あたしが名取川文乃を納得させられる要素があるとは思えないんですが」
「ん? また名取川さんのことだから、お前達を怒らせたんだろう?」
社長は言う。
「ということは、怒らせる方なんですか、あのひと」
「ああ。怒りにこそ本性が見えるといわれてね。あのひとには建前というのが通用しないんだ。必ず心を見られる」
「じゃあ社長も怒ったんですか?」
「ああ。忍月コーポレーションに居た時な。名取川流のお茶会の様子をネット配信を任せた部下が失敗したから、俺と部下が謝りに行った」
「その時、お茶したんですか?」
「ああ。"正直、清浄、礼和、質朴"だろ?」
「知ってたんなら、先に教えて下さいよっ!!」
「言ったら意味ないだろうが。それにわかったところで、OK貰うのはお前達の心をどう見たかのあのひとの判断だし。俺がお前が適任だと思ったのは、お前は仲間に辛くあたる相手に対して、相手がどんな奴であろうと、意見が言えるだろ。悪いものは悪いと、ちゃんと怒れるだろ」
「……無鉄砲ということですかね?」
「あはは、そうとも言うが、お前はカワウソのくせに人情派だし」
「あたしは人間なんですけど」
「あはは。人間のようなカワウソのくせに、だったな」
「社長!」
冗談を言えるほど、社長が回復してきているのが嬉しい。