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いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon
 

「じゃあなに? いらいらしているようにも見える」

「………」

「教えて?」

「………」

「朱羽を理解したい。もっと見せて、朱羽の心」

「……格好悪いから言いたくない」

「朱羽の格好良さはプラスを突き抜けているから、ちょっとくらい下がったところで……」

「俺、大人の男になりたいんだ」

「うん?」

「でもガキすぎて。あなたに嫌われる」

「ガキなのはあたしだってそうだし。朱羽よりガキだよ? わかっているでしょ?」

「男と女は違う」

「なんでそこで差別するの。男女は平等でしょ?」

「………」

「……おーい」

「………」

「朱羽くーん」

 ぷいっと横を向かれた。

「言ってくれないと、そういうところから関係にヒビが……「妬いただけだ!」」

 朱羽はむくれながら即座に言った。

「結城さんが好きなのに、あなたと笑ったり触ったりしているのが我慢出来なくなる。俺は結城さんのように懐が大きくないから……。結城さんはあんなに俺を助けようとしてくれたいいひとなのに、俺の……初めて出来た信頼出来る友達なのに、あなたに触れたり親しそうに笑う彼を見たら、敵視してしまう自分に……また自己嫌悪で」

「え……と、あたし結城とそんなにべたべたしてたの?」

 眼鏡のレンズ越し、詰るような目が向けられる。

 ぼそぼそと、ぶちぶち言い始めた。

「……そりゃあ俺から、茶の席で先頭に居たいと言ったよ? 茶道経験者の真下さんが隣にいてくれてすごく助かったよ?」

「うん?」

 朱羽から本音が吐露されるのが嬉しいんだ。

 あたしに心を開いているという証拠だから。

 だけど――。

「だけどなんであなたの隣が結城さんなんだよ」

 如何せん、朱羽はねじ曲がって受け取りやすい。
 
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