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いじっぱりなシークレットムーン
第11章 Protecting Moon
「いや、それは次期社長を杏奈や木島くんの後におけないでしょ。かといって衣里の横に結城が座ったとしても、隣は役職あるあたしじゃない? 一応名乗ってしまった以上は、ここは年功序列、役職順でいかないと」
「……凄くひそひそ話して、なにかジェスチャーしあってたし」
「だって作法がわからないんだもの。ちゃんと示し合わせないと。お互い、知識ないから、身振り手振りで教え合ってでも協力し合わなきゃ。頭がよくて何でも出来る朱羽と衣里とは違うんだよ? あたしも結城もなにもわからない、ボケボケなんだからジェスチャーだって、必死だよ? 名取川さんに突っ込まれないようにと」
「その後も嬉しそうに笑ってたし」
朱羽の愚痴の勢いが、幾分か弱まった。
「そりゃあ名取川文乃が協力してくれるんだから、嬉しいに決まってるでしょ? 結城に限らず、衣里にだって杏奈にだって木島くんにだって、嬉しそうにしてたよ。朱羽だって嬉しそうだったよ?」
「………。さ、沙紀さんにキスされそうな時だって、俺じゃなく……」
今度はどもりながら尋ねてくる。
珍しくあたしが、きっぱりと朱羽の意見に反対し続けているから、朱羽も妄想から生じた疑惑が薄らいでいるのかもしれない。
「あたし、結城の元に自分で飛び込んだ? いつものこととはいえ、結城は身体鍛えているから反射神経が凄いのよ。それに朱羽より近くに居たんだから、朱羽より先に反応できるの当たり前じゃない?」
「………」