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蜘蛛の巣
第5章 告白
「何あれ!?」
「リムジン!?」
「誰!? 芸能人!?」
ぎょっとして振り向いてみれば、人混みの先に見覚えのある高級車が。
"嘘でしょ……"
周りがはしゃぎまくる中で、華は目の前が真っ暗になった
「ねぇ、あれこないだ華を迎えにきた車に似てない?」
「さ、さぁね! リムジンなんてみんな似たようなもんじゃない!?」
そもそもリムジンに乗る人間自体が希少種なのだが、華はそう言って必死に講堂を目指す
だが反対を向く人の波が多すぎてなかなか前へ進めない
「やだ、ちょー美形」
「マジで誰なんだろ……」
振り向かなくても分かる
女子だけでなく男子も、自分以外のその場にいる全員が車から姿を現した"あの人"に注目しているーーー
「華も見てみなって! すっごい格好いいから!」
「あーそうだねー、うん、格好いい格好いい」
真里枝の呼び掛けに適当に答えていると、後ろの方が更にざわめくのを感じた
「いたっ……」
誰かに腕を掴まれ引っ張られる
思わず顔を上げると、早霧遥が人が作る道を悠々と歩いてくるところだった
"やばっ……"
近付いてくる相手から思わず顔を隠す
そんな華には気付かないまま、遥は彼女の真ん前を素通りしていった
"良かった、気付かれなかった……!"
「すごいイケメンだったねー」
遥が去って再び動き出した人々に押されながら真里枝が話し掛けてくる
「華ったら、何で顔隠してたの? やっぱり知り合い?」
「違う!」