この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蜘蛛の巣
第5章 告白
二人は思わず相手から顔を背けた
「……で、何の用だよ」
結利が少しむすっとした様子で煉に尋ねる
「うーんとね、お腹すいたなぁ、と思って」
「はぁ? そんなの橘さんに言えばいいだろ。なんでわざわざ……」
「なんかね、今日は本家のお屋敷の方にお客様が来てるらしくて、皆そっちに取られちゃったんだって。だから華チャンに頼めって言われちゃって」
そんなこと一言も聞かされていなかった華は驚いて目を見開く
「す、すみません。すぐ準備します」
急いで椅子から立ち上がり入り口へ向かう
"先に言っといてくれればいいのに……"
相変わらず雑な扱いをしてくれる
「ごめんね華チャン、僕も出来るだけ手伝うよん」
「お前料理なんかしたことないだろ」
「目玉焼きくらいなら……多分」
こうして(結利は結局ほとんどピアノを弾かないまま)三人はサロンを後にし、食堂へと向かったのだったーーー