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蜘蛛の巣
第5章 告白
「大学で鶴見を名乗るのはまぁ、早霧って言うと面倒だからだろうな」
鶴見だって十分厄介なんだけどな、と結利は笑う
「分かる。私も白河ってだけで色々言われるもん」
主に真里枝を思い出しながら華も苦笑する
それからはただもう名家に生まれた愚痴を次々に溢し、笑い合っていたーーー
グウウ…
どれくらい経ったろうか
それも分からぬ位おしゃべりに夢中になっていると、突然腹の虫の鳴き声がした
「わ、私じゃないよ!」
既に二度も壮真の前でやらかしていた華は慌てて両手を振って否定する
「え、オレじゃないけど」
結利も首を振って返し、二人は顔を見合わせた
「じゃあ……誰?」
ゆっくりとそのまま背後に視線を持っていく
「あー、ごめんねー。お邪魔するつもりはなかったんだけどー」
「……!」
「煉! いつからそこにいたんだ!」
扉にゆったりと寄りかかる男はテヘ、と舌を出してみせる
「いやぁ、かなり前からいたんだけど、お取り込み中みたいだったから。
いいねぇ、若者同士仲がよろしくて」
自分たちの世界で話している間は何とも思わないのに、こう他人に言われると一気に恥ずかしくなる