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蜘蛛の巣
第1章 出逢い



「華様、到着致しました」

「あ、はい」

「遥様、申し訳ありませんが少々お待ち下さい」



呉羽がドアを開け、新鮮な空気が流れ込んで来る



"やっと解放される……っ"



遥の出す威圧的な雰囲気のせいで息が詰まりそうだった



降りる直前にチラリと彼に目をやると、バチッと視線が合う

その苛立ったような顔から慌てて目を逸らして華は車の外に降り立った



「わ……!」



そこには今まで見たこともないような大きな家が。

後ろを振り向くと、車がくぐってきたであろう入り口は遥か遠く。



"家っていうか旅館みたい……!"



明治から大正にかけて造られたからだろうか

邸は和洋が調和したハイカラな雰囲気を醸し出していた



さらに奥に、ここからでも見えるほど大きな屋敷が建っている



「手前が華様がこれから住まわれる邸、奥が遥様のお屋敷です」



さすがは早霧、他の五家に比べても格が違う



「お屋敷の方はまた別に入り口がございますので、私たちはこれで」

「え、ちょっと待って! ここから一人ですか!?」



丁寧に一礼して去ろうとした執事を華は慌てて引き止めた



「すぐに邸の者がお出迎えに出て来るかと……ああ、来ました」


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