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蜘蛛の巣
第7章 それぞれの顔



翌朝ーーー

朝食の準備の為に早く起きた華は髪を整え薄くメイクをする

鏡の中の、寝不足気味な自分の顔を見てため息をついた



こんな風に日常を送ろうとしているだけでも驚きだ

本当は頭の中はひどく混乱していて、誰とも会いたくない

それでもこうしてやるべきことがあるのが、逆に救いなのかもしれない



どちらにしろここから逃げることは出来ないのだからーーー。



「……よし」



支度を終え、気合いを入れるように勢いをつけて立ち上がる

そして小うるさい使用人が来る前にさっさと行こうと食堂へ向かった







「おはようございます、華様」

「お、おはようございます……」



調理室の前に立ちはだかる橘を前にして華はびくびくと下を向いていた

心の中では"小うるさい使用人"呼ばわりだが、そんなこと本人の前ではとても口に出せない



「今日は早かったですね。結構」



"だからなんでそう上から目線なの!"



「今朝は全員一緒にお食事を取られるそうなので、華様にもより一層働いて頂きますよ」



そう言うと、橘は有無を言わさぬ雰囲気で華を調理室の中へと押しやった


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