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蜘蛛の巣
第7章 それぞれの顔
そこから先はてんやわんやだった
華が来てから今までの食事では、誰かが欠けたり、華自身がいなかったりしていた
一人違うだけでも大きく変わる
その上まだ早霧の邸に客人が残っているらしく、そのせいで使用人の数もいつもより少なかった
仕事量は倍になる
「フウ…」
やっと全員分の朝食を作り終えたと一息ついたら、橘がものすごい形相で近付いてきた
「何を休んでらっしゃるんです!? まだ洗い物が残ってるんですよ!」
「す、すみません!」
"これじゃまるで嫁姑だよ……"
いくら嫁ぎ先を決めるために来ているとはいえ、あまりに雑な扱いに華は大きくため息をつく
その瞬間、橘の鋭い視線が華を射ぬいた
"しまった……"
「華様、今……」
「ねー、まだぁ?」
絶妙のタイミングで、調理室に綾斗が入ってくる
「ハナが来ないと食べれないよー。皆待ってるんだから」
「あ……」
さすがに白河家の長男に言われてはどうすることも出来ない
橘は渋々華を調理室から送り出した
「ありがと、アーヤ」
「んーん、華がいないとつまんないんだもん!」