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蜘蛛の巣
第7章 それぞれの顔
挨拶を終え、片付けを始める二人
ここからでは背中しか見えないが、負けた悔しさは痛いほど伝わってくる
そしてーーー
「アーヤ…泣いてる……?」
この後、煉の言っていた意味がようやく華にも分かるのだったーーー
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「ヒクッ…ボクがあそこで…ミスしたから……っ」
帰りの車の中、綾斗はずっと悔し涙を流して自分を責め続けていた
「いやー、ダブルスなんだからさ、連帯責任じゃない? だってほら、最後のはカーヤのミスだし」
「煉さん、そのフォローは……」
後部座席の左側で泣きじゃくる綾斗に対し、茅斗はその隣で黙ったままずっと外を眺めている
「だってカーヤはっ…途中でワンゲーム取ったし……っ」
今は何を言っても無駄だと思っているのだろうか
終始変わらぬ調子の二人を乗せ、車は屋敷へと到着した
「……おやすみ」
その一言だけを残し、茅斗はさっさと自分の部屋へ戻ってしまう
「アーヤも今日はもうお風呂入って早く寝たら?」
「…うん……」
綾斗も鼻を啜りながらふらふらとその後を追った
「煉さん」
「ん?」
「今日初めて、二人の決定的な違いが分かりました」
「あー、はは……」
綾斗と茅斗
見た目も中身もそっくりだと思っていたが、やはり違う人間なのだとーーー