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蜘蛛の巣
第8章 光と影
双子に少し遅れて、華たちも中に入った
「思ったより遅くなっちゃいましたね。夜ご飯大丈夫かなぁ……」
「あのね、華チャンが来る前だって皆こんな感じだったし、それでもご飯が用意されてなかったことなんかなかったよ。
キミ、橘サンに良いように使われてますよ」
「え……」
「煉様!」
鋭い声に二人の足がぴたりと止まる
何故いつもいつも、来てほしくない時に現れるのか
長年人に仕えて鍛えた勘というやつか。
「お帰りなさいませ。お伝えすることがございまして……」
橘はそこで口をつぐむとちらりと華を見た
「華様、食堂にご夕食を用意しております。まだ結利様もいらっしゃると思いますよ」
なんともあからさまな作り笑いだ
“そんな回りくどいことしなくたって、あなたと一緒にいるなんてこっちから願い下げですから!”
腹立たしい思いを顔に出さないよう必死で繕いながら、
「はい、わかりました」
とだけ答えて華はその場を去ろうとした
「ああ、華チャン」
そんな彼女を煉が少し呼び止める
「嫌なら嫌って、言っちゃっていいんだからね」
そして橘にばれぬようこっそりウインクしてみせた