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蜘蛛の巣
第8章 光と影
「あ、待って。ユウくんの好きな作曲家、分かったかも」
「え?」
「当てちゃってもいい?」
突然始まったクイズ形式に、結利は頭を整理し切れないまま頷く
「とか言って違ったら恥ずかしいなぁ。
モーツァルト! 違う?」
結利は解答者をまじまじと見つめた
「あ、あれ!? 違った!? 絶対合ってると思ったんだけど……」
「……当たり」
「え?」
「当たりだよ。よく分かったな」
正解発表に華は嬉しそうに顔を輝かせた
「やっぱりね! そうじゃないかと思った!」
モーツァルト
言わずと知れた、十八世紀の天才音楽家だ
宮廷作曲家であった彼の作品には明るく軽快な曲が多い
「感傷的になるのが嫌なら、きっとこういう曲で気分転換とかしてるんじゃないかなーって!
初めて会った日に弾いてたのもモーツァルトだったしね!」
「あ、ああ。そういえばそうだったな……」
自分のことをこんなにも理解してくれている
ほんの少しのきっかけだけで。
「せっかく当てたから、オレの一番好きな曲、弾いてやるよ」
それは彼にとって驚くべきことであり、非常な喜びでもあった