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蜘蛛の巣
第9章 悩み
「最近全然喋れてない気がするんだけど」
四月も半分以上過ぎたある日、急に真里枝がそう切り出してきた
「え、そう? 毎日話してるじゃん。こうやって」
「いやそうじゃなくてさ、遊びに行ったり色々……こういう授業の合間とかじゃなくて」
「ああ…うん……そうだね」
「毎日すぐ帰っちゃうし。サークルの見学だって、華はもうほぼ決まってたけど、私に付き合ってねって言ったのに」
「ごめん……」
珍しくきつめの口調で言われて小さくなる華
だが相当溜まっているのか、真里枝の文句はそれだけに止まらなかった
「ていうか華のサークル…料理研究部だっけ? 週二でしょ。ない日は何してるわけ?」
「お屋敷で使用人のお手伝いを……」
「……何それウケる」
「ホントなんだってば! 使用人頭の人の扱いがひどくて……」
「あー、わかったわかった」
必死に訴える華に真里枝は思わず苦笑する
彼女に笑みが見えたことで華の方も少しほっとしていた
「そういう話を待ってたのよ。全く、そんなに不満があるんだったら全部この私に吐き出しなさいっての」
「そうだね、ごめん」
今度は笑いながら謝れる