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蜘蛛の巣
第9章 悩み



だが真里枝の次の言葉で、華のその笑顔は固まってしまった



「鶴見遥のことは? まだ聞いてなかったよね?」

「あ……」



華の目が無意識に泳ぐ



これは言って良いことなのだろうか

言えば彼が名字を隠している意味がなくなる−−−



「えっと…それは……」

「……」



言い淀む華をしばらく黙って見つめてから、真里枝は横を向いて溜め息をついた



「やっぱいいや。セレブは色々あるんだろうし。庶民が口出すことじゃないよね」



その言い方に若干の刺を感じる



「ちがっ…そういうことじゃなくて……」



華は慌てて説明しようとしたが、タイミング悪く次の授業の開始を告げるチャイムが鳴ってしまった

真里枝はさっさと自分の席に戻ってゆく



華は親友に申し訳なさを感じる一方で、親戚との関係の間に板挟みになっていたのだった−−−



******************************



その日の夕食前−−−

談話室で勉強していた華のもとへ、また頭を悩ませるような話題が持ち込まれた



「華チャン、再来週の旅行のことなんだけど」



持ち込んだのは、最年長のこの男−−−煉である



「は、旅行!?……何も聞いてないんですけど……」



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