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蜘蛛の巣
第10章 旅先にて。



「あ…あの……それってどういう……」

「ハナー? 戻ってるー?」



スイートルームの扉が開く音と共に綾斗の声が聞こえ、要はさっと華から離れた

すぐに二人がいる部屋の戸が開き、双子が顔を覗かせる



「あ、やっぱりいた! もー、なんで先に戻ってるの! ボクたちずっと待ってたんだよ!」

「えと……ご、ごめん」



何も悪いことをしていたわけでもないのに、華は何故か焦っておろおろした

それを二人が、そして要とすれ違い様に後から入ってきた男が見逃すはずもない



「何かあったの?」



という茅斗の問い掛けに、



「う、ううん別に何も! ただ要さんとベランダでかち合っちゃっただけ」



取り繕った笑顔を浮かべる華を見て、和樹は首を傾け悪戯な笑みを浮かべる



「ふーん、そうなんだ」



その言い方に一瞬華の背中がぞくりとした

だが和樹は、眠いから寝ると、ただそう言っただけでそれ以上何をすることもなく自分の決めた寝室へと入って行った



「じゃあ、明日も早いしボクたちももう寝る?」

「うん、おやすみハナ」

「あ、うん。おやすみ」



こうして各々就寝の挨拶を済ませ、その日は終わった


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