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蜘蛛の巣
第1章 出逢い
白河華、十八歳。
新年度に入り、三日後に大学の入学式を控えている
華はすっかり空になった自分の部屋を見つめて溜め息をついた
「華ー! 真里枝ちゃんが来たわよー!」
「はぁい!」
もう一度寂しげに部屋を一瞥し、華は階段を降りていった
「お邪魔してまーす」
リビングに入ると真里枝は既にソファーに座ってくつろいでいた
華は
「うん」
とだけ答えて隣に腰かける
木下真里枝は高校、そしてこれから大学生活も共にする友人だ
「緊張してる? いよいよ今日だもんね!」
「緊張どころじゃないよ」
なんとか笑ってみせるが、その顔はひきつっていた
「一時にお迎え来るんだっけ? お迎えかぁ……なんか次元違うなぁ」
「いや、私はパンピーなんだけど」
「生活は普通でもやっぱり血筋が違うよ! 親戚同士で結婚とか、しかも相手はあの五大企業の御曹司様だよ?」
「だからそれはたまたまだって……」
華の家は巨大企業を経営する白河家の系統だ
だが跡取りの家系ではない
「でも何で五大企業が繋がってるの?」
「……それ、前にも説明したよね?」
「お願い! だって世界が違い過ぎて面白いんだもん」
華は溜め息をついて仕方なく説明を始めた