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蜘蛛の巣
第1章 出逢い
白河家を含めた五大企業の大本は世界有数の巨大財閥、早霧グループである
江戸時代の終わり、華の高祖父にあたる人物が京都のある商家に生まれ、明治、大正と一代でそれを日本随一の貿易会社に育て上げた
そして彼の息子は更なる手腕で会社を発展させる
その方法の一つが政略結婚だった
曾祖父は自分の娘五人を古くから力のあった五つの一族に嫁がせた
それが鶴見、斑目、神崎、白河、京堂であり、今の五大企業の前身である
親戚筋となった早霧は五つを巧みに操り吸収し、今の巨大財閥にまで成長したのだ
かつては自分の家よりも力のあった五家を傘下に治めて。
「じゃあ華のお祖父ちゃんが早霧財閥のお嬢様をお嫁にもらったんだ」
「そう」
「で、華のお父さんは長男じゃないから跡は継げなかったと」
「そう」
難しいー、という友人に華も苦笑して返す
ここまででも充分複雑で面倒くさい
だが早霧家の因習はそれだけに止まらなかった
「それで、血筋を守るために早霧を入れた六つの家の中だけで結婚?」
「そう」
ふむふむと真里枝は相槌を打つ
初めて知ったような顔をしているが、もう三回はした話だ
「あれ? じゃあ華のお母さんもその中出身?」
華は首を横に振った