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蜘蛛の巣
第10章 旅先にて。



「ハァ…ハァ……ッ」



華が肩で大きく息をしている間に、和樹は彼女のナカから指を引き抜いた



“信じられない……!”



ようやく解放された華は急いで裾を直しながら和樹を睨み付ける

それでも彼は涼しい顔をして笑みを返すだけだった



「あっ、二人ともいた!」

「全然戻って来ないから心配したよー。何してたの?」



間一髪、二人が華たちのいる場所に顔を覗かせる



「んー、別に? 華ちゃんに飲み物でも奢ってあげようかと思って」



和樹は体を屈めて少し温くなったいちご牛乳を取り出した

受け取る瞬間、華の指と和樹のそれとが触れ合い微かに滑った

華の体がびくりとたじろぐ



「わ、ハナ顔真っ赤! のぼせちゃったの?」

「っ…う、うん。ちょっと長風呂しすぎたかな」



華は覗き込む茅斗に慌てて笑ってみせた



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