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蜘蛛の巣
第12章 あの日々は遠くーーー



「ハァ…」



華は椅子に深く腰掛けため息をついた



「どうした? 最近元気ないな」



何度目かの吐息に結利はピアノを弾く手を止めて華を見る



「もしかしてつまんない……?」

「あ、ううん。ごめん、ユウくんのせいじゃないよ」



彼女の悩みの原因はもちろん、双子や和樹のことである

だがそんなことを結利に言えるわけがない



再び黙ってしまった華を前にして結利は困った顔をしていた

何か話題はないかと頭を巡らせる



「あ、華の誕生日っていつ?」

「え?」

「いや、そういえばまだ聞いてなかったなーと思って」

「六月七日だけど」

「お、ちょっと近いね」



少し嬉しそうに笑う結利に今度は華が尋ねる番だった



「ユウくんは?」

「え……聞いてない? 明日、なんだけど……」



一瞬の沈黙



「えええ!?」



華は思わず椅子を蹴って立ち上がる



「何で言ってくれなかったの!?」

「いやその、もう誰かが伝えてるかと……」



激しく首を振る華に結利が申し訳なさそうな顔をしているところへ、サロンの扉が開き壮真が顔を覗かせた



「華ちゃんごめん、ちょっといいかな?」

「あ、はい」



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