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蜘蛛の巣
第12章 あの日々は遠くーーー
「本当!? 手作りの安物なんだけど……」
「手作りの段階で安くねーよ。世界に一つだけ、オレしか持ってないってことだろ」
「でもさっき自分で作ったものをプレゼントするなんて変だって……」
「ああ、あれは煉だからそう言ったの。お前は違うから」
喜んで貰えて華も嬉しそうに顔を綻ばせる
「ちょっとちょっと、まだボクたちが残ってるんですけどー」
「二人の世界に入らないでよね!」
茅斗がずいっと前に歩み出で、綾斗は華を奪い返すかのようにその腕を引っ張った
「これでラストだね! ボクからのプレゼントはちょっと実用的なものにしてみました!」
ぽん、と結利の腕に置かれたそれは、少し大きめのリュックだった
音大がどうかは分からないが、大学に持って行くのにちょうど良い感じのーーー
「お、おう…確かに実用的だ……」
実用的ではあるがーーー
「ただちょっと…ピンクに白の水玉は……」
「カワイイでしょ!? ここにね、クマのイラストも付いてるの!」
「あ、ああ……」
こんなものを大学に背負っていったら絶対笑われる
結利の中で既にこのリュックは部屋の隅行きが決まっていたーーー