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蜘蛛の巣
第12章 あの日々は遠くーーー
「意外に思うかもしれないけど、和樹は大のスイーツ好きなんだ。その和樹がタダ券を人にあげるなんて凄いことなんだよ」
驚きの新事実ーーー
いやしかし、いくらあげる側にとって特別だったとしても貰う側がどう思うかが重要だろう
だが結利は
「ありがとう、嬉しいよ」
そう言って微笑み、券を大事そうに(要の)本の上に置いた
それだけ珍しいということか
どちらにしても、和樹のお陰で多少出しやすくはなった
いよいよ次は華の番だ
「あの…私、は……」
「なぁに、もしかして華チャンも僕の本選んじゃたの?」
緊張して出せずにいる華を見て煉が横から口を挟む
「な、違います! ユウくん、気に入ってくれるか分かんないけど、これ!」
「これ…ピアノ……」
「昨日徹夜で刺繍しました! 良かったら受け取って下さい!」
可愛くラッピングされた贈り物を、顔を真っ赤にした上に相手を見ることも出来ずに俯いて目をギュッと瞑りながら男子に差し出す女の子
端から見ればそれは告白以外の何物でもなかった
「すげーなお前……サンキュ」
そう言って今までで一番の笑顔を見せる結利は好きな女子にプレゼントを貰って喜ぶ男の子といった感じだ