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蜘蛛の巣
第13章 鎖された場処

言ってしまってから、華ははっと気付いた
そっとテーブルに目を落とす双子に。
唇を噛み、膝の上で硬く拳を握り締める壮真の姿にーーー。
「ぁ…言い過ぎました……」
「いや、いいんだ。華ちゃんの言うことはまさしくその通りだよ……何も返すことの出来ない正論だ。
早霧や他の分家の人間は……そんな言い方をすると他人事みたいになってしまうね……俺たちは、京堂が下にいることで安心しているんだ。愚かな人間がよくやることさ……かつて士農工商の下に穢多非人がいたように。ヒトラーがユダヤ人という共通の差別対象を創ったように。彼らを見て人は思うんだ。
"良かった、あいつよりはマシだ"
ってね」
「や……っ」
やめて。
それ以上、言わないで。
「そして彼らに憐れみを掛けることで自己満足に浸るんだ」
「やめて下さい!」
華は地に両膝をついて壮真の手を握った
琥珀を見つめる黒い瞳から大粒の涙が零れる
「……どうして君が泣くの」
「だって…っ……壮真さんが自分を責めているみたいだったから……っ」
「そうでなくてはいけないんだよ。本当に最低なのは、それを分かっていながら何もしないでいる俺みたいな人間なんだから」

