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蜘蛛の巣
第13章 鎖された場処



「ちょっと!」



三度目のことにとうとう堪忍袋の緒が切れた



「いい加減にしてよ! 何なのさっきから! 言いたいことがあるなら言いなさいよ!」

「……人の過去を勝手に穿り出して観賞するのがそんなに愉しいか」



背後から掛けられた冷たい言葉に華はさっと振り返る



そこには、先ほどまでピアノを弾こうとしていた少年の十数年後の姿があった



「要、さん……」



テレビのリモコンを片手に此方を見る彼の目はいつもより感情的だった

怒りに満ちた瞳が華を貫く



「俺が……京堂が爪弾きに遭う様はお気に召したらしいな」

「え……?」



要は小さく吐き捨てるようにそう言うとリモコンをソファに放って部屋を出て行こうとした



「…っ……待って下さい!」



華の手が彼を追うように伸ばされる



「……」

「…待って……っ」



昂った要を引き止める恐怖からか

それとも何か別の感情によって、華の方が昂ってきているのか



要の腕を掴む彼女の手は小刻みに震えていた



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