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蜘蛛の巣
第14章 想いの渡し方
華に渡したのは、小さな誕生石が一つ埋め込まれた万年筆だった
無論要が選んだものではない
京堂家に長年仕える執事に頼んで適当に用意させたものだ
それを喜ばれては、さすがに罪悪感も湧く
だが要は言うべき言葉も見つけられずにそのまま食堂から出て行ってしまった
「何だよ……感じ悪いな」
「大丈夫だから」
そう言いつつそれを見送る華の瞳が翳る
“悪いのは私だから……”
「ハナ、そんなに暗い顔しないで! まだソーマとレンおじさんのが残ってるから!」
「あっ」
茅斗は華の両肩を掴んで壮真の方を向かせた
「これ、大したものじゃないんだけど……華ちゃん手芸が好きだから」
「ありがとうございます……」
にっこりと笑う壮真
その素敵な笑みに目を奪われていた華は手元をほとんど見ていなかった
「あ、しまっ……!」
「……っと、大丈夫?」
受け取り損ねたプレゼントを壮真がうまく捕える
二人の手が少しの間重なった
「……っ!」
華の顔がみるみる赤く染まってゆく
「は、華ちゃん?」
「イエ、ダイジョブ、デス……」