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蜘蛛の巣
第14章 想いの渡し方
「だって私、まだここに来て二ヶ月だよ? お互いのこともほとんど知らない。
そんな私がプレゼントを貰えるのって、例え形だけのものだったとしても、すごいありがたいことだと思うから」
包みを開ききり、箱の蓋を外す
中を見て、華は静かに微笑んだ
「それに」
要の方を振り返って言葉を続ける
「これ、とても素敵です。大事にしますね」
「……っ」
「ありがとう、要さん」
要は華の笑顔をまともに見られなかった
背中を向け、ぐっと唇を噛み締める
“俺は何を望んでいたんだ……?”
この前の彼女の発言がずっと引っ掛かって苛々して、それを彼女にぶつけた
彼女が泣けば満足だったのか?
あるいは結利と同じように腹を立てれば?
やはりお前も他の人間と変わらない
あの日の言葉は偽善に過ぎないと
証明したかったのか−−−?