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蜘蛛の巣
第14章 想いの渡し方
「ここだよ」
「ここ……?」
サロンを前にして華は顔をしかめる
驚いたことにまだ分かっていないようだった
「マジかよ……ほら」
扉が開かれ、目の前に準備万端なグランドピアノが現れた
「え、ピアノ……!?」
「う、うん……まぁ」
結利は恥ずかしそうにこめかみを掻く
「こんな高価なもの……というか私ピアノ弾けないよ!?」
「……ん!?」
慌てる華にその場にいる全員が動きを止めた
そしてその意味に気付いた時、一気に笑いが沸き起こる
「華ちゃ…華ちゃん違……っ…クスクス……」
「え……え?」
「結利はね…ック……自分が弾く為に君をここまで連れてきたんだよ」
「……あ……!」
壮真の言葉にようやくプレゼントが何なのかに気が付いた華
かましてしまった天然ボケに顔を隠さずにはいられなかった
「き、気にするなよ。普通プレゼントがピアノの演奏だなんて思わないもんな」
彼女によって余計に恥ずかしい立場に追いやられた結利はそれでも必死で彼女を慰める
「そうだよねぇ。さすがにちょっとキザ過ぎるよねぇ」
「お前にだけは言われたくない!」