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蜘蛛の巣
第15章 分かたれて。
扉の向こうで人が動く気配がし、返事の代わりに本人が姿を現すーーー
「あ、カーヤ……。
……あれ?」
「カーヤの部屋は反対側だよ」
そこにいたのは、兄の綾斗だった
「ごめん! 間違えた!」
「もう、そそっかしいな……」
綾斗は溜め息を零しながら反対側のドアを見やる
少し元気がないような気がするのは、やはりーーー
「あの、見てたわけでもないのになんだって思うかもしれないけど、カーヤが怪我したのはアーヤのせいじゃないよ」
「……別にそんなこと思ってないよ」
そう言って少し口を閉ざしてから、綾斗は華の方に目を向けた
"……?"
その瞳は、複雑だった
責めるような、怒っているような、けれどもどこか哀しげなーーー
どうにもならない諦めのような。
「……ねえ、華」
綾斗は床に視線を落とし、同じように多くの感情が混じり合った声で呟いた
「ボクとカーヤ、どっちが好き?」
「え……」
どっち、だなんて。
「そんなの…ないよ……」
困ったように視線を游がせる華を見て、綾斗はまた深く息を吐く
「ボクたちは双子で、二人で一つなんだって……そう思えるくらい、生まれたときからずっと一緒で…何もかも分かり合えてる気がして……」
綾斗の声が、震える