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蜘蛛の巣
第15章 分かたれて。
「華ちゃん、悪いんだけど、今のこと橘さんに伝えてもらえる?」
「分かりました」
華はそう答えると、急いで使用人頭を探しに行った
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大学の課題、夕飯の準備、自分の食事−−−諸々を終え後は片すだけだという頃、時刻は九時をまわっていた
「華様、茅斗様のお部屋に行って何か不自由がないか伺って来て下さい。それから、もし食事を終えられていたらお片付けも」
「はい」
すっかり使われることが板に付いた華は言われるがままに今していた作業を中断して茅斗の部屋へと向かった
"カーヤの部屋は…えーと……"
この屋敷に住み始めて二ヶ月と少しになるが、広すぎて未だに迷うことがある
もともと少し方向音痴な彼女は、廊下で一人おろおろしているところを誰かに見つかっては笑いながら案内されるということもしばしばだった
"よし、でも今日はちゃんと辿り着いたぞ!"
ドアの前に立ち、小さく二回ノック
もし寝ていたら起こしては悪いと思ったからだ
「あの、カーヤ? 起きてる? 食器回収しにきたんだけど、入っても良い?」