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蜘蛛の巣
第16章 軋む



「……別に、何でもない」



遥は苛立ちをぶつけるようにもう一度華のことを一瞥すると、その女性を見ることもなくさっさとその場から去ってしまった

女性は慌ててその後を追う



"今の…何……"



女の方も気にはなるが、それよりもーーー



"言っておきたいことって……?"



相変わらずの威圧感を放ちながら、一体何を言おうとしたのか







「やっぱり知り合いだったんじゃん」



考え込む華の隣に、いつの間にか真里枝が戻って来ていた

その声は今までで一番怒っているように聞こえる



「違っ…真里枝、今のは……」

「ま、別にいいけど」



そして華の手から自分の荷物を取ると先ほどの遥と同じように相手に見向きもせずさっさと行ってしまった

皮肉気な言葉さえない



「待っ……!」



引き留めようとするがその後の言葉が出てこない

そのまま授業開始の鐘が鳴り、華はただ廊下に立ち尽くしていたーーー



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