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蜘蛛の巣
第16章 軋む



「おい、お前」



突然足元に影が落ち、聞き覚えのある声に驚いて目を見開いた



この声は−−−まさか、そんな。



本能的に震え出す体を抑えつつ、華はゆっくりと顔をあげた



「…っ…遥、さん……」

「お前、何でここにいるんだ」



不機嫌そうな顔



“何、その目……”



私、疑われてる?



「別に…っ……これからこの階の教室で講義が……」

「こう、ぎ……?

お前、ここの学生なのか?」

「……!?」



驚く遥にびっくりだ

呉羽は彼に何も伝えていないのだろうか?



「…まぁいい。それより俺はおまえに言っておきたいことが……」

「遥? 何してるの?」



華に詰め寄ろうとした遥の背中から、可愛らしい女子が顔を覗かせた

小さな顔に大きな瞳−−−その童顔とバランスを取るように茶色い髪を大人っぽくストレートに下ろしている



“誰……?”



自分とは対照的に臆することなく遥に話し掛ける彼女

しかも呼び捨てときた


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