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蜘蛛の巣
第16章 軋む
「壮真!」
遥は怒り露に入って来るといきなり座っていた壮真の襟刳りを掴んだ
「帰っているなら何故屋敷にいない!
俺の言うことがきけないのか!」
「遥、悪かった。今日はもう少し遅いと思って……」
「そんなことは関係ない! 俺より先に帰ったなら俺の帰りを待つのが常識だろう!」
怒鳴る彼を見て華は目を丸くする
他人を振り回す怒りっぽい最低な人。
そのくらいの認識でしかなかったが−−−
今の彼は、まるで子供だ
「……ん」
ここで初めて遥は華の存在に気が付いたらしい
唖然とする彼女に向けられた目が一気に鋭くなる
「…っ……」
「お前が壮真を引き止めていたのか……」
「遥、違う!」
「そうだ…壮真がそんなことするはずないからな……」
静かな、低く唸るような声に華は身の危険を直感した
壮真が彼を止めようと腕を押さえる
「お前が! 壮真も他の奴らも!」
遥はその手を振りほどくように再び暴れだした
「誑かして取り入って…俺から……っ!」