この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蜘蛛の巣
第16章 軋む
「……っ」
華は真剣な眼差しで頷いた
ここに来て分かったことがある
自分の生きてきた世界の、なんて小さく脆いことかーーー
「あの、それで……ミズキさんはどうしたんですか?」
「ああ、彼女は……亡くなったよ」
「…っ……」
「鶴見家の……結利の叔父に当たる人だったんだけど、彼女より二十も歳上でね。その人が…確かではないけれど……かなり暴力的だったらしい。その上周囲の人間からの風当たりも強くて……。
それでも京堂の人間が鶴見に入るなんて滅多にないことだったから、彼女は一族の期待と重責を背負って……その間で、死んだ。
自殺だった」
要は、妹が鶴見に、早霧にーーーこの一族に殺されたと思っている
「要が御両親と早霧に謝りに行くのを見たよ。
でも御両親は娘よりも一族再興の足掛かりを失ったことを嘆いているように見えたし、実際彼女を悪く言う人は多かった。
本気で悲しんでいたのは……要だけに見えたよ」
要は一度も泣かなかった
少なくとも人前では。
ただ悔しそうに、ずっと拳を握り締めていた