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蜘蛛の巣
第16章 軋む
「それで、要のことだけど……」
華が少し落ち着いたのを見て話を再開する
「…俺が思うに多分……あれは半分本音で、半分嘘だ」
首を傾げる華に、壮真もどう説明したものかと考え込む
「少し……昔の話をしようか」
その言葉に合わせて壮真の目も遠くなった
「もう二年も前のことになるかな……要には瑞希ちゃんっていう一つ下の妹がいてね。ここにもよく遊びに来てたから覚えてる。兄想いの優しい子で、要も彼女といる時は楽しそうに笑うんだ。
でもやっぱりあの子にも十八になって結婚の話がきた」
「要さんの一つ下ってことは、皆さんとも歳近いですよね? でも皆さんまだ独身ですし……」
壮真は悲しそうに首を振った
「京堂家の女性が次期当主に嫁ぐことはあり得ないよ。そんなことをしたら京堂家に権力がいってしまうからね。しかも当主の娘ならなおさらだ。
皆、京堂には弱者であって貰わなきゃ困るんだよ。華ちゃんも……」
「私は……!」
「華ちゃんにそんな気持ちが全くないのはよく分かってる。でも白河と京堂、たった一つの順位の差でここまで扱いが変わること、心に留めておいてほしい。
そしてそれを当たり前だと思わないで」