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蜘蛛の巣
第17章 変化



「華ちゃん、大丈夫?」



部屋の隅にいた華に壮真がそっと声を掛ける

正装をし髪を上げた彼は正しく今日の主役に相応しい



彼のハレの日に沈んだ顔をしていてはいけないと、華は急いで笑顔を取り繕った



「大丈夫、ちょっと考え事してただけですっ!

プレゼント、気に入って頂けましたか?」

「うん、驚いたよ。まさか自分があげたものがこんな素敵な贈り物になって返ってくるなんてね」



壮真の手には数分前に華がプレゼントしたクマの編みぐるみが抱かれていた



「良かった! ぬいぐるみなんて子供っぽいかなと……」

「いや、嬉しいよ。ありがとう」



壮真は優しい笑顔でそう言ってから、また心配そうな表情に戻って華を覗き込む



「華ちゃん、その目は……」

「えっ、ああこれは……ちょっと張り切って徹夜しちゃったから!」

「……そう。それは何か、申し訳ないね」

「気にしないで下さい! 好きでやったことなので!」

「華ちゃん」



頬に手を添えられ、親指で優しく目尻を撫でられる

華はこんな時でも恥ずかしさに赤くなる自分の単純さを呪った



「今日はゆっくり休んでね」

「は、はい……じゃあ私、もう部屋に戻りますね!」



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