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蜘蛛の巣
第17章 変化
そして、お祭り当日
「どこか苦しいところはございませんか?」
「はい、大丈夫です」
「いいですか、旧家たるもの、プライベートとはいっても余り羽目を外し過ぎないように」
「はい、分かっています」
華は橘に向かってにっこりと微笑んだ
その表情は数日前とは全く違う
多少引きつってはいるものの、橘もそれ以上何も言わないところを見るとだいぶ心の整理がついたのだろうか
「門限は九時です。まぁ皆様ご一緒ですし、大丈夫だとは思いますが……」
橘の説明を受けながら集合場所のガレージへと向かう
「ハナ!」
すぐに綾斗が駆け寄って来てその腕を取る
触れられた瞬間、華の指先が微かに反応した
「アーヤ、浴衣よく似合ってるよ。皆さんも」
「ハナもね」
壮真の車の近くから茅斗が静かに声を掛ける
「…っ……」
まともに顔を合わせるのはあの日以来かもしれない
「さて、運転手は僕と壮真クンなんだけど、華チャンどっちに乗りたい?」
「え、と……」
本当は遥が来るのであれば彼の家のリムジンに皆で乗るはずだった(らしい)のだが。