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蜘蛛の巣
第17章 変化
「じゃあ俺たちも行こうか。みんな、何か食べたいものとかある?」
「……別にない」
「ボクもなんでもいいかなー」
「あ! ボクね、金魚すくいたい! 金魚!」
食べ物を訊いたのだが–––
「オーケー、じゃあそうしよう」
意見を出したのが綾斗だけだったので、一行はまず最初に金魚すくいの屋台に向かうことにした
「まーたーやーぶーけーたー!」
「ハッハッハ、まだやるかいにーちゃん?」
三回目にして一匹も掬えない綾斗に店主は良い客だと上機嫌で尋ねる
「もちろ……」
「アーヤ、他の人もいるから……」
「面倒見のいい兄貴だねぇ。んじゃ弟くん、お兄ちゃんの為にもあと一回だけな」
歳の差を見せつけられてむっとしたのか、綾斗は急に不機嫌になった
「弟じゃないし。"遠い”親戚だし」
わざわざ強調して聞こえるように呟く
「……?」