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蜘蛛の巣
第18章 無意味な邂逅
双子が金魚すくいを楽しんでいた頃、別の場所では煉が華の姿を楽しんでいた
「やっぱり良いねぇ、浴衣に綿あめ!
ね、写真撮って良い?」
「変態度が上がってるぞ、オッサン」
危険人物になりかねない煉を、結利がダルそうに引き離す
そんなヤバい発言を受けても華は気にすることなく笑っていた
「ユウくんは? どこか行きたいところないの?」
–––いや、笑うしかなかった
逃げ場も、泣き場所も失くした彼女に残されたのは笑うことだけだった
「え、うーん……祭なんて久しぶりだからなぁ」
そして皮肉にも、どうしようもない今の方が上手く笑えた
結利は彼女のニセモノの笑みに騙される
「……たこ焼き」
「ん?」
「たこ焼き、食うか?」
結利が向こうの方にある屋台を指差して言う
「うん! たこ焼き大好き!」
「だと思った。焼きそばって顔じゃねぇもんな」