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蜘蛛の巣
第19章 傀儡子
要が真里枝に気を取られていたために、もう一つの視線に気がつかなかったのは幸いだっただろう
“珍しい……こんな人の多いところにまで来るなんて”
結利と華がたこ焼き屋に興味を示していた時、煉だけが彼の存在に気が付いていた
“婚約者にゴリ押しでもされたのかね”
自分たちとは行かないと断ったようだが、彼女がいるならその意思が覆されていても不思議ではない
煉は遥の同伴者である女の姿も見つけて小さく笑った
鶴見怜夏
“一族のご令嬢”
生まれた時から次期早霧家当主の妻として位置付けられ、蝶よ花よと育てられた
絵に描いたようなワガママお嬢様だ
彼女相手には流石に遥も不憫だと思わなくもないが–––
“まぁ、そういう相手も必要ってことで”
今日一番楽しいものを見たとでもいう顔をして、煉はその場を離れた
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