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蜘蛛の巣
第19章 傀儡子
「キレイだねー!」
「たーまやーっ!」
などとはしゃいでいる双子の後ろで、華はただ静かに立っていた
口角が上がっているところを見るに、楽しくないわけではないようだが–––
「たまにはいいね、こういうのも」
うわの空の彼女に近づいて、煉はそう声を掛けた
「え……あ、そうですね!」
「あの花火、少し控えめだけど華ちゃんみたいに可愛い」
「……」
小さなピンク色の火花が爆ぜ、煉の指す花火が消えていく
「お前、よくそんな恥ずかしいセリフすぐ言えるよなぁ」
華の隣を陣取っていた結利が、聞いてるこっちが恥ずかしいと耳を赤くする
「兄さんのは病気だから。多分一生治らないよ」
ようやく目が覚めたのか、横から和樹も口を出してきた
「あらやだ和樹クン、嫉妬?」
「嫉妬されるほど自分に魅力があると思ってるんだ」
さすがナルシスト、と笑おうとした和樹に煉は何食わぬ顔で続けた