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蜘蛛の巣
第19章 傀儡子
ガチャ
午前一時頃
そろそろ寝ても良いはずの時間に、談話室のドアを開ける要の姿があった
「……あれ、まだ寝てなかったの?」
「……」
中にいた人物を認めすぐに身を翻す
「あ、傷つくなぁその反応」
煉の軽い口調がその足を止めさせた
「これを取りに来たんでしょう?」
振り返って彼の手を見れば、昼間 談話室に置き去りにした分厚い本が目に入る
「……何で分かった」
「まぁこんな小難しい本読むのなんて君か壮真クンくらいだからね」
内容を知っているところから、勝手に読んでいたのだと分かる
「“Perhaps I know best why it is man alone who laughs; he alone suffers so deeply that he had to invent laughter.”
……笑えないのが辛い?」
開き癖のついたページの一句を読み上げながら、煉は眉を上げて要に訊ねた