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蜘蛛の巣
第22章 理由



「……おい」



ビクッ



朝食を取りに渡り廊下へと向かっていた華は、後ろから掛けられた低い声に立ち止まった

この邸に移ってから一週間経つが–––



「はい……」



未だにこの男の真意は掴めない



「今日は午後の講義がないんだろう。大学が終わったら正門前で待ってろ」

「え……」

「あ?」



有無は言わせないという態度に、華はただ黙って頷いた



******************************



「……」



邸にしろ大学にしろ、広すぎるその敷地内で二人が偶然に会うことは滅多にない

つまりわざわざ呼び出すということは何か話があるのだろうが–––何故、よりにもよって大学なのか

華は隣に立つ遥を窺いながらも質問すら出来ずにいた



「……」



周りの目とこの沈黙が痛い

遥はそんな彼女にお構いなくずっとスマホを弄っている



…キッ



「遥様」

「遅い」



目の前に止まった見覚えのあるリムジンと、真っ黒な執事。


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