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蜘蛛の巣
第22章 理由



遥は不機嫌な声を出しながらスマホをポケットへと落とした



「申し訳ございません。少々道が混み合っておりまして」

「……ふん」



遥は開けられた入り口に足を掛けると、正門に立ち尽くしたままの華を振り返った



「何やってる。さっさと乗れ」

「え? いいんですか……?」



誰かと同乗することなどほとんどないと聞いているから、華は思わずそう答えていた



「あぁ? 良いも何も、俺が乗れと言っているんだ。早くしろ」

「…っ……はい」



威圧的な空気に怯えて華は素早く遥の横を抜ける

そして最初の時と同じ、入り口の近くに小さく腰掛けた



「……」



続いてゆっくりと乗り込んで来た遥の後ろでリムジンのドアが閉まる



「……」

「……?」



だが遥が入ったところから動く気配は一向になかった



「あ、の…何か……」

「邪魔だ。もっと奥に行け」

「す…すみませ……わっ」


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