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蜘蛛の巣
第2章 伸ばされたショクシ
翌朝ーーー
「華様! お目覚めですか!」
強くドアを叩く音と橘の声で華は目を覚ました
「はい……」
眠い目をこすりながら扉を開ける
「ま! まだそのような格好でいらっしゃるのですか!」
「だってまだ五時前……」
「今日は綾斗様と茅斗様が部活動で早くお出かけになるので」
なるのでーーーなに?
"私にも手伝えと!?"
早速の雑な扱いに華が思わず言い返そうとしたその時、橘の背後のドアが開き、和樹が欠伸をしながら顔を覗かせた
「朝から何事? うるさいんだけど」
「和樹様! 申し訳ありません!」
橘は慌てて深く頭を下げる
"なんなのこの差は!"
たとえ嫁候補といえど、私だって主人側の立場であるはずなのに。
「えーと……華ちゃんだっけ?」
「あ、はい。おはようございます」
「ああ、うん。来て早々なんだけど、問題起こさないでね。めんどくさいから」
"……!?"
まるで華が悪いかのような言い方だ
「いや、私は……」
「華様!」
橘が小声で厳しく諭す
完全に使用人、いや、使用人見習いの扱いだ
「……すみませんでした」
「じゃあ僕はもう少し寝るから」