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蜘蛛の巣
第2章 伸ばされたショクシ
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「ん……?」
「遥様、どうかなさいましたか?」
「いや、今外を昨日の女が……」
「ああ、華様ですね。外を? まさか駅に向かうつもりでしょうか」
遥は興味なさそうに肩を竦める
「馬鹿は放っておけ」
昨日顔を見て奇声を上げられたのが気に食わなかった
"あんな反応する女初めてだな"
放っておけと言いつつ、遥は顎に手を当て華のことを考える
遥の周りにはいつも顔色を窺い機嫌を取ろうとする人間しかいない
昨日の華の反応に腹は立ったが同時に新鮮さも感じていた
しかも恐ろしく庶民的
遥にとっては全く新しい人種だ
遥の顔になにやら怪しげな笑みが浮かぶ
"昨日の礼を含めて何かしてやるか……"
庶民は何をしたらどんな顔をするのか
興味がなさそうに見えて、遥は面白半分に華をいじってやることに決めていた
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