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蜘蛛の巣
第2章 伸ばされたショクシ



とりあえずは今日一日の自分の予定を考えなくては。

早起きしたおかげで幸い時間だけはたっぷりある

この邸を探検してみるというのもありだが、一人で動いたら迷いそうだし、橘に会うのが嫌だった



"あ、こっから大学ってどうやって行くんだろ"



そういえばそこを考えていなかった

昨日は車で来たが、これまでの周囲の言動から考えるとそれは無理そうだった

入学式は明後日だ



"よし、今日はこっから大学まで行ってみよう"



華は一旦部屋に戻って支度をすると、たまたま通りかかった使用人に最寄り駅までの道を尋ねた

使用人は快く教えてくれたが、最後に



「もしかして歩いて行かれるおつもりですか……?」



と訊いてきた



「え?」

「この一帯は早霧の土地ですから、相当遠いですよ。周りに家もありませんし」



んな大げさな、と甘くみたのが間違いだった







「まだ着かないのー!?」



歩き始めて三十分、遠くにまだ早霧の屋敷が見える



"これは……車じゃないとキツいよ"



せめて自転車が欲しい、とぼやく華の横を一台のリムジンが悠々と通り過ぎていった



"今のは遥さんの……"


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