この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蜘蛛の巣
第2章 伸ばされたショクシ
とりあえずは今日一日の自分の予定を考えなくては。
早起きしたおかげで幸い時間だけはたっぷりある
この邸を探検してみるというのもありだが、一人で動いたら迷いそうだし、橘に会うのが嫌だった
"あ、こっから大学ってどうやって行くんだろ"
そういえばそこを考えていなかった
昨日は車で来たが、これまでの周囲の言動から考えるとそれは無理そうだった
入学式は明後日だ
"よし、今日はこっから大学まで行ってみよう"
華は一旦部屋に戻って支度をすると、たまたま通りかかった使用人に最寄り駅までの道を尋ねた
使用人は快く教えてくれたが、最後に
「もしかして歩いて行かれるおつもりですか……?」
と訊いてきた
「え?」
「この一帯は早霧の土地ですから、相当遠いですよ。周りに家もありませんし」
んな大げさな、と甘くみたのが間違いだった
「まだ着かないのー!?」
歩き始めて三十分、遠くにまだ早霧の屋敷が見える
"これは……車じゃないとキツいよ"
せめて自転車が欲しい、とぼやく華の横を一台のリムジンが悠々と通り過ぎていった
"今のは遥さんの……"