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蜘蛛の巣
第3章 救い、あるいは–––
「……華ちゃん?」
目を閉じたまま静かに息をする華に壮真はそっと呼び掛ける
"さすがに初めての夜に男二人はね……"
壮真はーーー少し哀しそうな顔をして、彼女の体が冷えないようにしっかりと布団をかけるとそっと部屋を出ていったーーー
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「君ってホントに酷いよねぇ」
自分の部屋へ戻る最後の角を曲がったところで、壮真を一人の男が待っていた
薄暗い廊下の壁に体をもたせかけるその男は普段は和服姿だが今日はスーツに身を包みーーー
「帰ってたんだ……煉兄さん」
「女の子の甘い声につられてね」
煉はタチの悪い冗談を言って笑うとそのまま前を通り過ぎようとした壮真に声をかける
「いつもそうやって人の心の弱味につけ込んで慰めて……ホントお優しいコト」
「つけ込むなんてそんな……俺はただ本気で……」
そこまで言って口をつぐみ、壮真は自分の部屋へと帰っていった
煉は冷たい目でその背中を追う
「本気ねぇ……一体何に本気なんだか」